12月7日、国民民主党が同党の憲法調査会(山尾志桜里会長)での
討議を踏まえ、「憲法改正に向けた論点整理」を公表した。野党が憲法全体に亘(わた)る改正構想を、責任ある形で提案したのは、
画期的な出来事だろう。その主なポイントは以下の通り(産経新聞12月8日付による)。
〔1〕人権保障(サイバー空間での個人の尊重。同性婚の保障)
〔2〕地方自治(住民自治・団体自治の明記。地方自治体の「課税自主権」の明記)
〔3〕9条(制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊保持の明記)
〔4〕検討すべき課題(安定的な皇位継承。緊急事態条項の制度化)これらのうち、〔3〕については、次のような記事になっている。
「憲法9条をめぐっては、自衛権行使の範囲や自衛隊の保持・統制の
ルールを規定する必要性に触れつつ、①9条2項を改定し、制約された
自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊の保持を明記する
②9条1、2項を維持した上で、制約された戦力、交戦権の行使を認める
例外規定の設置―の2つの条文イメージを列記した」と。①②どちらの案も、安倍前首相が唱えた
「9条1、2項を残して、追加条文で自衛隊をただ明記するだけ」案より、
遥かにまともだ。しばしばタブー視されがちな緊急事態条項も、決して誤魔化さず、
検討すべき論点に盛り込んでいるのは注目に値する。更に、皇位の安定継承についても、検討事項にしっかりと組み込んでいて、有難い。
但し、これについては、恐らく憲法それ自体の改正は、特に必要ないだろう。
憲法に「皇位は世襲」(2条)とあるのを前提に、皇室典範で継承資格を
「男系の男子」(1条)に限定している、時代錯誤的な規定を改正すれば、
それで解決する。同党は「移動憲法調査会」のような形で、全国で国民の声を直接、
聴く機会を設けたい、としている。
すこぶる意欲的だ。
それが実現したら、各地の有志はどうか積極的に参加されることを願う。戦後日本にとって、最大の政治課題だった「憲法改正」。
このテーマが、野党サイドからの大胆な提起により、
いよいよ新しい局面を迎えようとしている。私ら国民は、責任感と主体性を持って、
この世紀の大事業を“自ら”担おうではないか。【高森明勅公式サイト】
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